人間も含めて動物が泳ぐときは、多くは水をかき分ける、すなわち水に圧力をかけることにより、推進力を得るようにしています。
そのために人間は腕や足を動かし、魚はひれを利用するのです。
また、イカやタコは体の内部の水を噴射することにより、周囲の水を押しのけて前進あるいは後進します。
動物性プランクトンであるミジンコは魚類でなく無脊椎動物の甲殻類に属するが、泳ぎ方は手のひらのような触覚を動かして水をかいています。
では、水中にいる無脊椎動物の単純な体のクラゲはどんな力を使ってどんな泳ぎ方をするのでしょうか。
魚と同じように水をかいて押しのけるという泳ぎ方をするのでしょうか。
クラゲの泳ぐ力
クラゲは、通常口側を下にした姿勢をとっているが、反口側は凸面で傘、口側は凹面で下傘と呼びます。
傘外周に発達する環状筋によって、傘を開いたり閉じたりする運動を行うことで泳ぎます。
傘の開閉が泳ぐ力になるのです。
クラゲの泳ぎ方
クラゲは、傘を閉じるときに、傘の縁に小さな水の渦を発生させ、この渦を使って体を動かします。
傘の下部の流れを低圧にするところがポイントで、水を後方に押して自身を前進させるのではなく、自分のすぐ前にある水の中に圧力の低い領域を作ることにより、自身を前方に牽引する形になるのです。
水を後方に押して自身を前進させるのは、高圧を作っていることであり、クラゲの泳ぎ方は、これと逆のやり方になります。
低圧を形成するエネルギーは、高圧を作り出すエネルギーよりも少なくて済み、原始的な構造のクラゲに適していると考えられる。
クラゲと類似の泳ぎ方をする動物
推進力を得るために高圧でなく低圧を利用する動物には、クラゲの他に、脊椎動物の円口類の魚類であるヤツメウナギがいます。
ヤツメウナギは、体を横方向に動かして旋回渦を発生させ、渦の中心部に低圧域を形成します。
まとめ
生体はそれぞれ体の構造などにより自分の都合のよい動き方をするんですね。
クラゲの泳ぎ方などは、まさにその一つです。
生体の生き方や構造あるいは動きは、人間生活にいろいろと応用できます。
医療の分野における薬剤や、ロボットの分野における人間工学の活用など、すでに実施されているものが多いそうです。
低圧領域を形成させる泳ぎ方も、これからの泳ぎ方あるいは船舶の推進力を得るという技術への応用研究が期待されています。
従来よりも低エネルギーの構成になるメリットが大きいのです!